結婚後に分かった嘘① 持病を隠されていました【弁護士・夫婦カウンセラーが解説】

結婚後に分かった嘘01 持病

【今回のご質問】 結婚した後に夫の持病がわかりました

結婚した後に夫の持病がわかりました。

結婚する前に夫に借金や持病を聞いた時にはないと言っていたのに…

ショックですし、許せません。

嘘をつかれたことに対して何か対応できることはありますでしょうか?

【弁護士としての回答】

持病が強度の精神病の場合、離婚できる可能性があります。

民法は、夫婦のいずれかの意思によって離婚できる場合を、次のように定めています。

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

民法第770条1項

この第4号の 「配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。 」に該当するかが、ポイントということになります。

もっとも、お医者様から「回復の見込みがない」という診断が出ることはまずありません。

そのため、持病が強度の精神病であることに加え、結婚前からそのような持病を抱えていたのに、隠していたという事情を付け加えて、第5号の婚姻関係の破綻があったとして離婚を求めることが一般的です。

しかし、実際には、なかなか離婚が認められるのは難しいと認識すべきでしょう。

念のため、単に精神病があるというだけでは、直ちに一方的な離婚は認められないとするのが、裁判所の考え方です。

民法七七〇条は、あらたに「配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込がないとき」を裁判上離婚請求の一事由としたけれども、同条二項は、右の事由があるときでも裁判所は一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるきは離婚の請求を棄却することができる旨を規定しているのであつて、民法は単に夫婦の一方が不治の精神病にかかつた一事をもつて直ちに離婚の訴訟を理由ありとするものと解すべきでなく、たとえかかる場合においても、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできるかぎりの具体的方途を講じ、ある程度において、前途にその方途の見込のついた上でなければ、ただちに婚姻関係を廃絶することは不相当と認めて、離婚の請求は許さない法意であると解すべきである。

最判昭和33年7月25日

【夫婦カウンセラーとしての見解】

あなたが許せないのは、

・パートナーが嘘をついていたことでしょうか。

それとも、

・パートナーが持病を持っていたことでしょうか。

まずは、自分の気持ちに対して冷静に向き合い、分析しましょう。

 

結婚前に、持病の有無を尋ねていたということからすると、

後者、持病を持っていたこと自体なのではないでしょうか。

 

それであれば、そもそも

結婚というのは高齢になっても続くもの

ですから、

おいおい重大な病気が出てくるものですし、

それを2人で協力して乗り越えるもの

ではないでしょうか。

 

持病がどの程度のものかはわかりませんが、どの程度のものであったとしても、

「持病があったから何か訴えたい」という発想なのであれば、

結婚というものに対する考え方が甘いのではないでしょうか。

 

それに、持病があったからといって、これまでパートナーの好きだったところが変わるわけでは無いはずです。

持病を抱えながら、どうサポートし、どう乗り越えるか、そういった方に考え方を切り替えましょう。

 

そうではなくて、前者、

パートナーが嘘をついていた、ということがご不満なのであれば、

どうして(あなたから見て)そのような噓をついたのか、を確認してみましょう。

 

パートナーからすると、大した持病ではないと思っていて、嘘をついたという認識が無いかもしれません。

それであれば、どのラインからがちゃんとパートナー間で話をするべきなのか、協議する必要があるでしょう。

 

また、仮に意図的な嘘であったとすれば、

パートナーは、「そこまで嘘をついたとしてもあなたと結婚したい」という考えだったのではないでしょうか。

 

嘘をつくことを肯定する訳ではありませんが、

そこまで思ってくれるパートナーに対し、

まずは冷静に向き合うべきではないでしょうか。

 

まとめ

・持病が強度の精神病の場合、離婚できる可能性がある

・まず、 自分がどうしてパートナーのことを許せないのかを冷静に分析する

・だれもがいずれ病気になる。そういったトラブルを協力して乗り越えるのが「結婚」関係であることを認識する


対応弁護士兼夫婦カウンセラー
小林 聖詞
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