婚約破棄には応じないといけない?【弁護士・夫婦カウンセラーが解説】

婚約破棄には応じないといけない?

【今回のご質問】婚約を破棄したいと言われた…

 

先日彼女にプロポーズをして、婚約をしました。

しかし数週間後、私の家族と会った後に、彼女から

「婚約をなかったことにして欲しい」

といわれました。 

 

理由としては私の家族と考え方が違い、不安になったそうです。

 

このような理由で婚約は破棄できるのでしょうか?

そして慰謝料等は請求できるのでしょうか?それとも慰謝料を請求される立場になるのでしょうか?

 

【弁護士としての回答】

 

残念ながら結婚の強制はできず、破棄はできます。

この場合、慰謝料を請求できる場合がありますが、慎重な対応が必要です。

婚約とは?

まず、「婚約」とは、そもそも何でしょうか?

 

婚約という用語は、法律上明記されているものではありません。

一般的には、「婚約」とは、結婚をするという合意、すなわち、「結婚の申込み」と、「その申込みの承諾」による意思の合致、というものを意味するといえます。

 

もっとも、単に「結婚しようねー。」「うん!」というような、単なる恋愛感情の中でされるようなやり取りは、「結婚の申込み」と、「その申込みの承諾」による意思の合致とは言えません。

その意思の合致が「法的に保護すべき程度」まで高められているか、が大事になります。

 

そのため、「婚約」があると主張するためには、お互いに結婚の約束をしていた、というだけではなく、結婚に向けて一般的にするような行動、例えば婚約指輪を送っているか、家族同士の顔合わせは行われているか、式場探しはしているかといったような要素を総合的に主張していくことになります。

 

婚約破棄は拒否できない(結婚は強制できない)

次に、語弊を恐れずに言えば、

婚約をしていたとしても、最終的に結婚をするかはその人の自由です。

そのため、婚約をしているからといって、結婚を強制することはできません。

 

今回のケースですと、彼女がどうしても婚約を破棄したいという場合、

それは受け入れるしか無い、ということになります。

 

婚約を破棄されたら慰謝料請求できる?

次に問題になるのが、婚約破棄の場合、慰謝料を請求できるか、ということです。

そのためには、まず、「破棄」、つまり相手からの一方的な要求であることを説明しなければなりません。

お互い結婚に前向きではなくなった、という場合には、慰謝料の請求はできません。

 

さらに、慰謝料を請求するためには、「破棄」が正当な理由に基づくものではない、ということが認められなければなりません。

この場合、正当な理由があるかどうかは、破棄をした側が主張立証することになります。

たとえば、価値観の違い、程度では、正当な理由があるとは認められません。

被告は,原告との婚約を破棄した理由について,原告との価値観の違いと主観的な理由を主張するのみであって,婚約破棄に正当な理由があったとは認められないから,婚約破棄について原告に対する不法行為の成立が認められる。

東京地裁平成29年12月26日判決

これに対し、破棄を求められた側の責任が大きいということであれば、正当な理由が認められることになります。

被告が婚約解消を決めたより大きな理由は,原告の結婚に対する消極的な発言を繰り返したことに加え,被告に対する配慮のない態度にあることが認められるから,被告による婚約の破棄の発言には正当な理由があるというべきである。

東京地裁平成26年6月25日判決

 

婚約破棄に正当な理由があるかどうかは、総合的な判断になり、断定が難しいものです。

慰謝料の請求をお考えの場合は、ぜひ一度お問い合わせください。

 

慰謝料を請求するためにすべきこと

まず、相手との間で婚約が成立していたこと、そして、それが相手の一方的な要求によるものであることは、最低限、目に見える形でやり取りとして残しておく必要があります。 

そのため、メールやLINEにて、これまでの経緯、すなわち、いつ婚約をしたのかであるとか、相手から一方的に婚約破棄を言われたことについて、相手に確認をしておくといいでしょう。

 

罪には問えない

なお、婚約の破棄は犯罪ではないので、刑事上の罪に問われることはありません。

 

【夫婦カウンセラーとしての見解】

まず、どうして婚約破棄を求めるのか、相手に対してしっかり理由を聞きましょう。

そして、その理由が、解決可能なものであるのか、そうでないのかを、冷静に分析しましょう。

 

例えば、「一緒に生活したらお金の価値観が合わなかった」「結婚してちゃんと養える自信が無い」、とかであれば、努力次第で改善の余地があるでしょう。

 

そうではなく、「実家と相性が合わない」「他に好きな人ができた」などの理由であれば、早々に見切りをつけて、新しい人を探す方向に努力するべきでしょう。

 

もちろん、婚約破棄という結論になった場合には、もらうべき慰謝料はしっかりもらいましょう。

 

また、一度婚約破棄になりそうだったが、やはり結婚の方向に向かえそう、という場合には、今度は同じことが無いよう、しっかりと合意書を作ることをおすすめします。

 

当サイト経由では、婚約段階でのカウンセリングのご相談から、合意書の作成まで一括で対応できますので、興味があればぜひご相談ください。 

 

まとめ

・婚約破棄は慰謝料を請求できる場合がある

・冷静に破棄された理由を確認し、それが改善可能なものか分析する

・婚約破棄の話をされたら、一度ご相談を


対応弁護士兼夫婦カウンセラー
小林 聖詞
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