プレゼントを返せと言われたら②  婚約指輪【弁護士・夫婦カウンセラーが解説】

プレゼントを返せと言われたら 婚約指輪

【今回のご質問】婚約指輪を返還してほしいのですが

 

先日彼女にプロポーズをして、婚約をしました。

婚約指輪は、彼女の希望により、数百万円するものを購入し、彼女にプレゼントしました。

 

しかし数週間後、私の家族と会った後に、

彼女の浮気が発覚しました。 

 

彼女は、まだ独身であることをいいことに、

複数の人と交際していたようです。

 

私としては、彼女のことが許せませんので、

慰謝料を請求したいと考えていますが、 

それとは別に、婚約指輪の返還を求めることはできるのでしょうか?

数百万円もしたものですから、取り返したいです。

  

【弁護士としての回答】

 

返還してもらえる可能性が高いです。

婚約指輪をプレゼントする法的意味

まず、婚約指輪のプレゼントは、交際中のカップルのプレゼントとは意味が異なります。

そこには、「結婚をします」という前提条件があります。

 

そのため、婚約指輪のプレゼントは、法的には、

「結婚をしないときは、贈与の効力を失う」という解除条件が付いた贈与、と考えられます。

解除条件付法律行為は、解除条件が成就した時からその効力を失う。

民法第127条2項

 

そして、婚約破棄となった場合は、「結婚をする」という条件が成就しないことになりますので、

贈与契約の効力が失われることになります。

そうなると、婚約指輪を持っている相手方は、贈与契約という法律上の原因がないのに、他人の財産を持っている、ということになります。

この場合、不当利得返還請求により、婚約指輪を返還してもらえる、ということになります。 

法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う

民法第703条

婚約破棄の理由によっては返還できない

今回は、相手の浮気という理由があるので、返還してもらえる可能性が高いです。

しかし、逆に、あなたの方が浮気をしていた、という場合、返還してもらえる可能性はまずないでしょう。

その場合は、あなたが「不正に」結婚の約束を妨げ、条件を成就させることで婚約指輪を返還してもらえるという利益を得ることになるため、相手方が、法律上、解除条件が満たされていない、と主張できるためです。

条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。

民法第130条2項

結論

そのため、結局は、婚約破棄になった主な原因がどちらにあるのか、ということが、婚約指輪の返還の成否を決める重要なポイントになるといえるでしょう。

 

【夫婦カウンセラーとしての見解】

婚約の時点で浮気が間違いない、ということであれば、修復はかなり困難になります。

結婚後も、浮気をされる可能性は否定できません。

 

しかも、相手の希望によって高額な婚約指輪をプレゼントしていた

ということであれば、

お怒りになる気持ちもごもっともであるといえます。

 

この場合、別れると決めた以上は、相手に対しては遠慮することなく、

婚約指輪の返還や、慰謝料の請求をしていくべきです。

ここで優しさを見せる必要はありません。

 

なお、浮気をされても、それでもなお婚約を破棄したくないという場合は、

結婚後も同じようなことが起こりうることを覚悟しておくべきです。

その上で、少しでもそのリスクを減らしたい場合は、

相手との間で合意書を交わすことをおすすめします。

 

当サイト経由では、婚約段階でのカウンセリングのご相談から、合意書の作成まで一括で対応できますので、興味があればぜひご相談ください。 

 

まとめ

・相手の浮気による婚約破棄の場合、婚約指輪を返還してもらえる可能性が高い

・あなたが浮気した場合は、返還してもらえない可能性が高い

・婚約破棄の場合は婚約指輪の返還だけでなく、慰謝料等も請求する

・浮気があっても婚約を破棄しない場合は、合意書を作成する


対応弁護士兼夫婦カウンセラー
小林 聖詞
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